強い生理痛(月経痛)と神経ブロック注射 

生理中、その前後に強い痛みが出て、仕事や学校、家事に支障が出る――そんな悩みを抱えている女性は少なくありません。生理痛は「我慢する仕方がないもの」ではなく、日常生活やこころの健康を守るために和らげることが大切です。ここでは、わかりやすく「何が原因か」「まず何を試すか」「神経ブロック注射とはどんな治療か」「婦人科との連携」について説明します。

まずは原因の見分け方

生理痛には大きく二つのタイプがあります。

1. 一次性月経困難症:子宮の収縮やホルモン(プロスタグランジン)の働きで起こる痛み。若い人に多く、画像で異常が見つからないことが多いです。月経前症候群(PMS)で強い痛みを感じる方もいます。

2. 二次性月経困難症:子宮筋腫や子宮内膜症、骨盤内の炎症や癒着など、はっきりした病気が原因で起きる痛みです。痛みが強い、性交痛や不妊などがある場合はこちらを疑います。痛みの性質や伴う症状によって、婦人科での詳しい診察や超音波検査などが必要になります。

試すべき治療(標準治療)
多くの場合、まず次の方法が試されます。

• 鎮痛薬(NSAIDs):市販薬や処方薬で痛みを和らげます。多くの人で効果があります。
• ホルモン療法:低用量ピルや黄体ホルモン(プロゲスチン)などで生理の状態を変え、痛みを抑えます。妊娠希望や副作用の有無を相談します。
• 生活やセルフケア:運動、温める、睡眠や食事の改善、ストレス対策なども大切です。

これらで改善しない場合、婦人科と相談しながら次の選択肢を考えます。
神経ブロック注射とは?
神経ブロックは、痛みを脳に伝える神経の途中で局所麻酔薬などを使って信号をブロックする方法です。骨盤や子宮からくる痛みは、特定の神経や神経の集まり(例:上腹神経叢=SHP)を通って脳に伝わるため、そこに注射して一時的に痛みを止めることができます。
 
• 薬やホルモン治療を試しても痛みが続くとき
• 日常生活に大きな支障があり、早く痛みを軽くしたいとき
• 痛みの原因がはっきりしている(あるいは婦人科と相談しても改善が得られない)とき
ブロック治療のメリットと限界
神経ブロック注射は、
  • 痛みを素早く軽減できる
  • 睡眠や生活の質を改善できる
  • 薬の副作用を減らせる などのメリットがあります。

しかし、効果は個人差があり、複数回の施術が必要なこともあります。また、神経ブロックで一時的に痛みが大きく軽くなることがあります。毎月の強い痛みを緩和し、日常生活の改善が期待できるケースも多いです。
婦人科との連携が重要です

神経ブロックは単独で行うものではなく、婦人科と連携して総合的に治療方針を立てるべきです。婦人科の検査で手術が必要な病気(例:重度の子宮内膜症や大きな筋腫)が見つかれば、そちらを優先します。逆に婦人科での治療が難しい場合や、薬でのコントロールが難しい場合には、ペインクリニック(麻酔科)で神経ブロックも検討します。

実際の流れ(一般的な例)
1. 婦人科で診察・検査を受ける(超音波など)。
2. 薬やホルモン療法を一定期間試す。
3. 改善が不十分なら、婦人科と麻酔科が相談して神経ブロックを検討。
4. 効果と副作用を評価し、必要なら追加治療を行う。

メリット
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。

まとめ

生理痛で日常生活がつらいとき、痛みをやわらげることは生活の質(QOL)を守るためにとても重要です。まずは婦人科での診察と標準治療から始め、改善がない場合にはペインクリニックと連携して、神経ブロックなどの追加治療を検討しましょう。

ペインクリニックでは、専門科と連携し、ブロック注射などの専門的治療を組み合わせて、痛みの緩和を目指すことが可能です。早期に適切な治療を行うことで、「毎月、痛みに苦しむ」というQOL悪化のリスクを減らすことができます。

解説

一般社団法人ペインケア 理事長 柿沼 勇太(かきぬま ゆうた)

麻酔科専門医、公衆衛生学修士。慶應義塾大学医学部を卒業後、大学病院や市立病院で15年以上にわたり麻酔科に従事し、疼痛緩和や気道管理を専門としてきた。痛みや睡眠障害、排泄の問題は生活の質(QOL)を大きく損なうことを実感し、日常の不調に対する予防的アプローチとセルフケアを推進している。