頚部痛と肩こり ― ペインクリニックでの専門的アプローチ

あなたは次のような症状を感じていませんか?
• 首や肩が重く、常にだるい
• デスクワーク後に頭痛や眼精疲労が出る
• 朝起きても肩のこりが残っている
• 首を横に倒すと、片側だけ強く張る
• 肩を押すとゴリゴリした硬いしこりがある

慢性的な肩こり・頚部痛を放置すると頭痛や手のしびれ、不眠の原因になることもあるため、早めの対応が大切です。

肩こりや頚部痛は単なる疲労ではなく、姿勢・筋肉・神経・ストレスなど多くの要因が重なって起こる「生活習慣病的な症状」といえます。ここでは、原因・治療法・ペインクリニックの役割を解説し、最後に日常生活でできる予防法をご紹介します。

肩こり・頚部痛の原因

1. 筋肉性の要因

最も多いのが、筋肉の緊張による肩こりです。長時間のパソコン作業やスマートフォン操作で僧帽筋や肩甲挙筋が硬直し、血流が悪化します。筋肉に痛み物質(ブラジキニン、サブスタンスPなど)が蓄積し、コリや痛みを引き起こします。
筋硬度計を用いた研究でも、肩こり患者では筋肉の硬さと血流低下が確認されています。

2. 姿勢異常

現代人に多いのが「ストレートネック(スマホ首)」です。本来は緩やかな前弯を描く頚椎が真っすぐになり、頭の重みが首や肩に直接負担をかけます。猫背や骨盤の傾きも、頚肩部の筋肉を常に緊張させます。

3. 頚椎の変性疾患

椎間板ヘルニアや頚椎症、後縦靱帯骨化症などによって神経根が圧迫されると、肩こりだけでなく頚部痛や腕のしびれ・放散痛が出ます。MRI研究では、40歳以上の約6割に椎間板変性が認められるとされ、潜在的なリスクは高いといえます。

4. 心理的・自律神経的要因

ストレスや不眠は交感神経を優位にし、筋緊張や血流障害を悪化させます。長引くと「中枢性感作」により、軽微な刺激でも強い痛みを感じやすくなります。
肩こり、頚部痛の治療
薬物療法
• NSAIDs:急性炎症や痛みを抑制。
• 筋弛緩薬:筋緊張を和らげ、睡眠改善にも有効。
• 抗うつ薬・抗けいれん薬:慢性化した神経障害性疼痛に適応。

注射・ブロック療法
• トリガーポイント注射:肩や首の硬結部に局所麻酔を注射し、血流改善と鎮痛効果。
• 星状神経節ブロック:交感神経の興奮を抑え、首の痛みや頭痛・耳鳴りを改善。
• 神経根ブロック:椎間板ヘルニアや頚椎症による神経性の痛みに有効。

物理療法・リハビリ
• 温熱療法:血流改善と筋緊張緩和。
• 低周波・超音波治療:鎮痛と組織修復促進。
• 理学療法士による運動療法:ストレッチ、姿勢矯正、体幹強化。
ペインクリニックの役割
ペインクリニックは「痛みを診断し、包括的に治療する専門科」です。整形外科や内科では対応しきれない慢性痛に対して、次のような役割を担います。

1. 正確な診断
• 肩こり・頚部痛が単純な筋緊張か、頚椎疾患や内科的関連痛かを鑑別。
2. 高度なブロック治療
• 星状神経節ブロックや神経根ブロックなど、麻酔科医だからこそできる治療を実施。
3. 多職種連携
• 整形外科・リハビリ科・心療内科と連携し、患者ごとにオーダーメイドの治療を行う。
4. 慢性痛マネジメント
• 薬や注射だけでなく、生活習慣の改善や心理的支援も組み込んだ治療を提供。
生活上の注意点

治療を受けても、日常生活の習慣が改善されなければ再発しやすくなります。セルフケアとして以下を意識しましょう。

1. 姿勢改善
• デスクワークはモニターを目線の高さに。
• スマホは胸の高さ以上に持ち、うつむきを減らす。

2. 定期的なストレッチ
• 1時間ごとに立ち上がり、肩甲骨回しや首の側屈ストレッチを行う。

3. 睡眠環境の工夫
• 枕は低めで、首の自然なカーブを支えるタイプを選ぶ。

4. 運動習慣
• ウォーキングや軽い筋トレで血流改善。
• 骨盤底筋や体幹を鍛えることで姿勢が安定し、肩こり予防につながる。

メリット
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まとめ

頚部痛や肩こりは、多因子が絡み合って発症する慢性の不調です。放置すると頭痛、不眠、しびれなどを引き起こすため、早期の診断と治療が重要です。

ペインクリニックでは、麻酔科専門医がエビデンスに基づく診断と治療を行い、神経ブロック・薬物療法・リハビリの提案を組み合わせて最適な治療を提供します。

解説

一般社団法人ペインケア 理事長 柿沼 勇太(かきぬま ゆうた)

麻酔科専門医、公衆衛生学修士。慶應義塾大学医学部を卒業後、大学病院や市立病院で15年以上にわたり麻酔科に従事し、疼痛緩和や気道管理を専門としてきた。痛みや睡眠障害、排泄の問題は生活の質(QOL)を大きく損なうことを実感し、日常の不調に対する予防的アプローチとセルフケアを推進している。