
麻酔科医のしごと。内科も外科も診ます!
2026年03月21日 07:14
麻酔科医の仕事とは?内科も外科も診る総合医としての役割
藤沢ソーマクリニック 柿沼勇太
「麻酔科医は、手術で眠らせる医師」
そのように思われることが多いのですが、実際にはそれだけではありません。私はこれまで、手術室やICU(集中治療室)での経験を通じて、「全身を診る医療」の重要性を学んできました。
麻酔科医は、呼吸・循環・意識といった生命維持に直結する機能を管理する専門家であり、内科的視点と外科的視点の両方を持つ、いわば“総合医”です。
手術室で求められる全身管理
手術中、患者さんは麻酔によって意識がなく、自分の状態を訴えることができません。そのため私は、血圧、心拍数、酸素状態、呼吸の状態などを常に監視し、わずかな変化にも即座に対応します。
手術の侵襲や出血量に応じて、輸液や薬剤を調整し、身体のバランスを保つことが求められます。これは単なる技術ではなく、内科・外科・薬理学など幅広い知識を統合した判断の積み重ねです。
ICUで学んだ「命を支える医療」
ICUでは、より重症な患者さんの全身管理に携わってきました。人工呼吸器の管理、循環動態の調整、感染症への対応など、生命を維持するための医療は極めて高度です。
ここで強く実感したのは、「臓器単位ではなく、人全体を診る必要がある」ということです。一つの異常が全身に影響し、それがさらに別の問題を引き起こす。そうした連鎖を理解しながら治療を行うことが、麻酔科医の本質だと考えています。
内科と外科をつなぐ存在
手術前には、患者さんの全身状態を評価します。高血圧や糖尿病、呼吸器疾患などの既往がある場合、安全に手術ができるよう内科的に調整します。
一方で手術中は、外科医と連携しながら、手術の進行に合わせて全身管理を行います。私はこの経験を通じて、内科と外科の両方の視点を持つことの重要性を学びました。
痛みを診るということ
麻酔科医は「痛み」の専門家でもあります。術後の痛みだけでなく、慢性的な腰痛や神経痛、頭痛といった症状にも関わります。
外来診療では、「どこが痛いか」だけでなく、「なぜ痛みが続いているのか」を重視しています。筋肉や神経だけでなく、生活習慣やストレス、睡眠の質なども含めて評価することで、より本質的な改善につながると考えています。
基礎医学・公衆衛生・産業医としての視点
私は基礎医学の研究を通じて、病気のメカニズムを深く理解する重要性を学びました。また、公衆衛生の視点からは、予防医学や生活習慣の改善が健康に与える影響の大きさを実感しています。
さらに産業医として、働く方々の健康管理にも関わってきました。現代社会では、ストレスや睡眠不足、生活習慣の乱れが多くの疾患の背景にあります。医療は「治療」だけでなく、「予防」や「環境の調整」まで含めて考える必要があると感じています。
睡眠・生活習慣病と全身のつながり
睡眠時無呼吸症候群や生活習慣病は、痛みとも密接に関係しています。例えば、睡眠の質が低下すると、慢性的な疲労や痛みが悪化し、さらに生活習慣が乱れるという悪循環が生じます。
私は、呼吸や循環の管理を専門としてきた立場から、これらの疾患を全身の問題として捉えています。CPAP治療や生活指導、必要に応じた薬物療法を組み合わせ、根本的な改善を目指しています。
「人を診る医療」を大切に
これまでの経験を通じて私が大切にしているのは、「人を診る」という姿勢です。症状だけを見るのではなく、その背景にある生活や環境、心理的要因まで含めて理解することが重要だと考えています。
藤沢ソーマクリニックでは、痛み・睡眠・生活習慣病を一体として捉え、心身のバランスを整える医療を実践しています。患者さん一人ひとりにとって最適な医療を提供すること、それが私の目指す医療です。