
いびき音はなぜ自分で気づかないのか?
2026年03月24日 05:29
いびき音はなぜ自分で気づかないのか?
〜一番苦しくて、一番近くで聞いているはずなのに〜
藤沢ソーマクリニック院長柿沼勇太
「いびきがうるさいと言われたが、自分では気づかなかった」
このようなご相談は多く、いびきの特徴の一つといえます。実際には、自分自身が最も近くで音を発しているにもかかわらず、なぜ気づきにくいのでしょうか。医学的な観点から一般的な仕組みを解説します。
まず、いびきは睡眠中に上気道(空気の通り道)が狭くなることで生じます。空気が通る際に周囲の組織が振動し、その振動が音として認識されるのがいびきです。特に仰向けの姿勢では、舌や軟口蓋が喉の奥に落ち込みやすく、気道が狭くなることで音が強くなる傾向があります。
では、なぜその音に自分で気づきにくいのでしょうか。主な理由の一つは「睡眠中の脳の働き」にあります。人は眠っている間、外界からの刺激に対する反応が低下します。特に深い睡眠(ノンレム睡眠)では、脳は休息状態にあり、音などの刺激に対する感受性が低くなると考えられています。そのため、自分が発している音であっても、覚醒に至らないことがあります。
さらに、「音への順応(慣れ)」も関係します。一定の音が持続すると、脳はその刺激を重要でないものとして処理し、意識しにくくなります。例えば、エアコンや電車の走行音に次第に気づかなくなる現象と同様に、自分のいびきも継続的に発生するため、認識されにくくなると考えられます。
また、いびきが強い場合には、呼吸が不安定になっている可能性があります。睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が一時的に弱くなる、あるいは止まる状態が繰り返されます。このような場合、体内の酸素濃度が低下し、身体に負担がかかることがありますが、覚醒反応が起きても完全に目が覚める前に再び眠りに戻ることが多く、自覚しにくいとされています。
このように、「負担がかかっている可能性があるにもかかわらず、自覚しにくい」という点が、いびきや睡眠時の呼吸障害の特徴です。そのため、気づかないまま経過するケースも少なくありません。一般的に、睡眠の質の低下は、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下などにつながることがあります。
以下のようなサインがある場合には、睡眠の質が低下している可能性があります。
・家族やパートナーにいびきを指摘される
・日中の強い眠気や倦怠感がある
・朝起きたときの頭痛や口の渇き
・十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず疲労感が残る
これらの症状が気になる場合には、医療機関での評価を検討することが一つの選択肢となります。
藤沢ソーマクリニックでは、睡眠時無呼吸症候群に対する簡易検査(自宅で実施可能)を行っています。また、状態に応じてCPAP療法や生活習慣の見直しに関するご説明、いびきに対する治療の選択肢についてもご案内しています。※治療方法の適応は個々の状態により異なります。