院長ブログ

がんで痛みケアが大切な意味。緩和ケア、ペインクリニックの役割とは。

がんで痛みケアが大切な意味。緩和ケア、ペインクリニックの役割とは。

2026年04月21日 06:37

がんはなぜ痛みを伴うのか?―緩和ケアとペインクリニックの役割―


藤沢ソーマクリニック院長の柿沼勇太です。麻酔科専門医として、これまで多くの痛みの診療や緩和ケアに携わってきました。本日は「がんの痛みはなぜ起こるのか」、そして「地域で生活するための医療の役割」について解説いたします。


がんによる痛みは、単に「腫瘍があるから痛い」という単純なものではありません。主な原因は大きく3つに分けられます。


まず一つ目は、腫瘍そのものによる圧迫や浸潤です。がんが神経や骨、臓器に広がることで強い痛みが生じます。特に骨転移では、体を動かしたときに鋭い痛みが出ることが多く、日常生活に大きな影響を与えます。


二つ目は、治療に伴う痛みです。手術後の痛みや、抗がん剤による末梢神経障害、放射線治療による炎症などが該当します。がん治療の進歩により生存期間が延びる一方で、こうした治療関連の痛みと向き合う期間も長くなっています。


三つ目は、心理的・社会的要因による痛みです。不安や抑うつ、将来への不安、家庭や仕事の問題などが重なることで、痛みの感じ方が強くなることがあります。これは「トータルペイン」と呼ばれ、身体だけでなく心や生活背景を含めて総合的に対応することが重要です。


このようながんの痛みに対して重要なのが緩和ケアです。緩和ケアは終末期だけの医療ではなく、がんと診断された時点から並行して行うべきものです。痛みを我慢するのではなく、適切にコントロールすることで、生活の質(QOL)を維持・向上させることが目的です。


具体的には、医療用麻薬を含む薬物療法、神経ブロックなどの専門的治療、心理的サポートなどを組み合わせて行います。ここで重要な役割を担うのがペインクリニックです。


ペインクリニックでは、麻酔科専門医が痛みの原因を評価し、より専門的な治療を提供します。例えば神経ブロックは、痛みの原因となる神経に直接アプローチすることで、薬の副作用を抑えながら高い鎮痛効果が期待できます。


また、痛みのコントロールは日常生活の改善に直結します。夜間の痛みが軽減すれば睡眠の質が向上し、日中の活動性も高まります。食事がしやすくなれば体力の維持にもつながり、結果として治療の継続にも良い影響を与えます。このように、痛みの管理は単なる症状緩和にとどまらず、生活全体を支える重要な医療です。


特に大切なのは、「地域で、家庭で生活する」という視点です。入院だけでなく、自宅や施設で安心して過ごすためには、外来での継続的な痛みの管理が欠かせません。当院ではペインクリニックの専門性を活かしながら、在宅療養を支える医療を提供しています。


がんとともに生きる時代において、「痛みを我慢する医療」から「痛みをコントロールする医療」へと変化しています。患者さん一人ひとりが自分らしい生活を送るために、医療ができることは多くあります。その中心となるのが緩和ケアとペインクリニックです。


藤沢ソーマクリニックでは、睡眠・痛み・生活習慣を総合的にとらえ、地域の皆様のQOL向上に貢献してまいります。痛みでお困りの方は、どうか一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。