
マンジャロ?ゼップバウンド? 糖尿病と肥満治療、その効果は?
2026年09月16日 14:36
「マンジャロって最近よく聞くけれど、ゼップバウンドとは何が違うの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
藤沢ソーマクリニックでは今回、糖尿病と肥満症治療について院内研修を行い、話題になることの多いマンジャロ、ゼップバウンドについても改めて学びました。
結論からいうと、マンジャロとゼップバウンドは同じ「チルゼパチド」という成分を含む薬ですが、日本で承認されている治療対象が異なります。
マンジャロとゼップバウンドは同じ成分?
はい。どちらも有効成分はチルゼパチドです。
「GLP-1」とまとめて紹介されることもありますが、正確にはチルゼパチドは、GIPとGLP-1という2つのホルモンの受容体に作用するGIP/GLP-1受容体作動薬です。
食欲や血糖調節などに関係する仕組みに働きかけ、週1回皮下注射します。
では、同じ成分なのに、なぜマンジャロとゼップバウンドという2つの名前があるのでしょうか。
一番大きな違いは「何の治療薬として使うか」
2026年9月現在、日本では、
マンジャロ:2型糖尿病
ゼップバウンド:一定の条件を満たす肥満症、および中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
という違いがあります。
つまり「マンジャロ=ダイエット薬」という理解は正確ではありません。マンジャロは日本では2型糖尿病の治療薬として承認されています。
一方、ゼップバウンドは肥満症治療薬として承認されていますが、「体重を落としたい人なら誰でも保険で使える」という薬でもありません。
「肥満」と「肥満症」は同じではありません
ここはとても大切です。
体重やBMIが高い状態を指す「肥満」と、医学的に治療が必要と判断される「肥満症」は、同じ意味ではありません。
ゼップバウンドの肥満症への適応には条件があり、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、高血圧、脂質異常症または耐糖能障害などを有する方のうち、
・BMI 27kg/m²以上で、2つ以上の肥満に関連する健康障害がある
または
・BMI 35kg/m²以上
などの基準があります。
さらに保険診療での使用には、最適使用推進ガイドラインに基づく医療機関・医師などの要件があります。
そのため、単純に「BMIが高いからゼップバウンド」というわけではありません。
チルゼパチドにはどのくらいの効果がある?
チルゼパチドについては、糖尿病と肥満のそれぞれで大規模な臨床試験が行われています。
2型糖尿病患者を対象としたSURPASS-2試験では、チルゼパチドによるHbA1c低下と体重減少が確認されています。
また、糖尿病のない肥満または過体重の成人を対象としたSURMOUNT-1試験では、生活習慣への介入と併用した72週間の治療で、用量に応じた大きな体重減少が報告されました。
ただし、これは臨床試験参加者の平均的な結果です。「この注射をすれば誰でも同じように痩せる」という意味ではありません。
体重の変化や副作用には個人差があります。
副作用についても知っておきましょう
チルゼパチドでは、吐き気、下痢、便秘、食欲低下などの消化器症状がみられることがあります。
また頻度は高くありませんが、低血糖、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎、イレウスなど、注意が必要な副作用もあります。
糖尿病の薬を併用している方、膵炎などの既往がある方、胃腸の病気がある方などは特に、医師による確認が必要です。
強い腹痛や繰り返す嘔吐など、いつもと違う症状がある場合には、自己判断で様子を見続けず医療機関へ相談してください。
体重だけでなく「血糖・血圧・脂質」を見ることが大切
私たちが今回の研修で改めて大切だと感じたのは、体重という数字だけを見るのではなく、その人の健康全体を見ることです。
「最近かなり体重が増えた」
「健康診断で血糖値を指摘された」
「血圧やコレステロールも高くなってきた」
こうした場合には、体重だけを減らすことを考える前に、血糖値やHbA1c、血圧、脂質などを確認してみることが大切です。
肥満と睡眠時無呼吸にも深い関係があります
もう一つ知っていただきたいのが睡眠です。
肥満は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の重要なリスク因子の一つです。
2026年には、ゼップバウンドがBMI 27kg/m²以上の中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群にも日本で承認されました。
ただし、こちらについても対象患者や医療機関などに条件があります。「いびきがあるからゼップバウンドを使う」というものではありません。
大きないびき、睡眠中の無呼吸、朝の頭痛、日中の強い眠気などがある場合は、まず睡眠時無呼吸そのものを適切に検査することが重要です。
「自分は対象?」と思ったら、まず健康状態の確認から
マンジャロやゼップバウンドという薬の名前だけが先行していますが、大切なのは「どの薬を使うか」より、糖尿病や肥満症など、治療すべき病気があるのかを確認することです。
藤沢ソーマクリニックでは、藤沢・湘南地域の皆さまの内科診療、生活習慣病や睡眠のお悩みについてご相談をお受けしています。
「最近体重が増えて血糖値も心配」
「健診結果を一度相談したい」
「太ってからいびきがひどくなった」
「自分が肥満症にあたるのかわからない」
そんなときは、まず現在の健康状態を整理するところから始めてみてください。
薬を使う・使わないを最初から決める必要はありません。自分にどのような検査や治療が必要なのか、医師と一緒に考えていきましょう。