院長ブログ

高齢者の運動不足、骨盤底筋トレーニングをきっかけに

高齢者の運動不足、骨盤底筋トレーニングをきっかけに

2026年03月12日 06:04

高齢者フレイル予防としての骨盤底筋トレーニング


藤沢ソーマクリニック院長 柿沼勇太


高齢化が進む日本では、「フレイル(Frailty)」という概念が重要視されています。フレイルとは、加齢に伴い筋力や体力、認知機能などが低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある段階を指します。適切な運動や生活習慣の改善によって回復可能な状態であることが特徴です。


フレイル予防において注目されている筋肉の一つが「骨盤底筋」です。骨盤底筋は、骨盤の底にハンモックのように広がり、膀胱・子宮・直腸などの臓器を支える重要な筋肉です。この筋肉は排尿や排便のコントロール、姿勢の安定、体幹の支えなどに深く関係しています。


しかし、加齢とともに骨盤底筋は弱くなりやすく、尿もれ、頻尿、便失禁、姿勢の不安定、転倒リスクの増加などの原因となることがあります。特に高齢者では、骨盤底筋の低下が活動量低下につながり、結果としてフレイルを進行させる可能性があると報告されています。


近年、骨盤底筋トレーニングはフレイル予防の観点からも注目されています。骨盤底筋を適切に鍛えることで、排尿機能の改善だけでなく、体幹の安定性向上や姿勢保持能力の改善が期待できます。


とはいえ、高齢者にとって従来のトレーニングは難しいことも少なくありません。ケーゲル体操などの自主トレーニングは効果的ですが、正しい筋肉を意識して動かすことが難しく、継続できない方も多いのが現状です。


そこで近年注目されているのが、「骨盤底筋トレーニングチェア」を活用した方法です。このチェアは、座るだけで骨盤底筋を中心とした深部筋肉に刺激を与えることができる医療・リハビリ機器で、運動が苦手な方や足腰が弱い方でも無理なくトレーニングを行うことができます。


藤沢ソーマクリニックでは、フレイル予防の一環としてこの骨盤底筋トレーニングチェアを導入しています。30分程度座るだけのトレーニングですが、骨盤底筋だけでなく腹筋や内転筋などの体幹筋群にも刺激が入り、姿勢保持の改善や下肢筋力の活性化にもつながります。


また、当院ではトレーニングチェアだけでなく、簡単なストレッチ体操を組み合わせることを推奨しています。例えば、椅子に座ったまま行える足のストレッチや股関節の体操、ゆっくりとした体幹の回旋運動などを取り入れることで、無理なく全身の筋肉を動かすことができます。


さらに、排尿機能を保つための「トイレトレーニング」も重要です。高齢者では頻尿や尿意切迫感によって外出を控えるようになり、活動量が低下するケースが少なくありません。骨盤底筋トレーニングによって尿意コントロールを改善し、トイレのタイミングを整えることで、生活の質(QOL)の向上にもつながります。


骨盤底筋は、見えない筋肉ですが、健康寿命を支える重要な筋肉の一つです。特に高齢者では、歩行や姿勢、排泄機能といった生活の基本動作に深く関わっています。足腰が弱ってきたと感じる方、尿もれが気になり始めた方、最近外出が減ってきた方は、フレイルのサインかもしれません。


藤沢ソーマクリニックでは、骨盤底筋トレーニングチェアを活用した無理のない運動プログラムを提供し、高齢者のフレイル予防と健康寿命の延伸をサポートしています。地域の皆さまが、いつまでも自分の足で歩き、安心して生活できるよう、医学的根拠に基づいた予防医療に取り組んでいます。


足腰や排尿の悩みがある方は、お気軽にご相談ください。骨盤底筋から始めるフレイル予防が、将来の健康を守る大きな一歩になるかもしれません。