院長ブログ

睡眠時無呼吸症候群と肥満、どっちが先?

睡眠時無呼吸症候群と肥満、どっちが先?

2026年03月17日 06:49

太ると睡眠時無呼吸症候群になる?それとも逆?

肥満と睡眠時無呼吸の深い関係を医学的に解説


藤沢ソーマクリニック院長 柿沼勇太


「太ると睡眠時無呼吸症候群(SAS)になるのか?」

それとも「睡眠時無呼吸があると太りやすくなるのか?」


この疑問は多くの患者さんが抱くものです。実は、どちらも正しいと言われています。肥満と睡眠時無呼吸症候群は互いに影響し合う関係にあり、悪循環を形成することが医学的研究から明らかになっています。


本記事では、肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係を、医学的メカニズムを中心に解説します。





睡眠時無呼吸症候群とは



睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。

とくに多いのが**閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)**で、気道が狭くなることで呼吸が止まります。


主な症状は次のようなものです。


・いびき

・睡眠中の呼吸停止

・日中の強い眠気

・起床時の頭痛

・集中力低下


重症化すると、高血圧、糖尿病、心血管疾患などのリスクも高まることが知られています。





肥満は睡眠時無呼吸症候群の最大の原因



まず、医学的に明らかなのは、肥満が睡眠時無呼吸症候群の大きな原因になるということです。


太ると、次のような変化が起こります。



1 気道の周囲に脂肪がつく



肥満になると、首や咽頭の周囲にも脂肪が蓄積します。

これにより睡眠中に気道が狭くなり、空気の通り道が塞がれやすくなります。


特に以下の部位の脂肪が影響します。


・舌の脂肪

・軟口蓋周囲の脂肪

・咽頭周囲脂肪


これらが増えることで、睡眠中に気道が閉塞しやすくなります。



2 横隔膜の動きが制限される



腹部肥満があると、横隔膜の動きが制限されます。

その結果、肺の換気量が低下し、呼吸が浅くなります。



3 仰向けで気道がつぶれやすくなる



肥満では、仰向けで寝たときに舌が喉の奥へ落ち込みやすくなり、気道閉塞が起こりやすくなります。


実際、睡眠時無呼吸症候群の患者の約60〜70%は肥満が関与していると報告されています。





逆に、睡眠時無呼吸症候群は太りやすくする



一方で、睡眠時無呼吸症候群が肥満を悪化させることも知られています。


これは主にホルモンや代謝の変化によるものです。



1 食欲ホルモンの変化



睡眠不足や断続的な低酸素状態は、食欲に関わるホルモンを変化させます。


代表的なのが以下の2つです。


・レプチン

 満腹感を伝えるホルモン


・グレリン

 食欲を増やすホルモン


睡眠が不足すると


・レプチンが減少

・グレリンが増加


するため、食欲が増え食事量が増加しやすくなることが知られています。





2 インスリン抵抗性の増加



睡眠時無呼吸では、夜間に低酸素状態が繰り返されます。

これにより交感神経が活性化し、インスリン抵抗性が増加します。


その結果


・脂肪が蓄積しやすくなる

・血糖が上がりやすくなる


など、メタボリックシンドロームのリスクが高まることが知られています。


Bonsignoreら(2012)は、睡眠時無呼吸症候群がインスリン抵抗性やメタボリックシンドロームと強く関連することを報告しています。





3 日中の活動量が低下する



睡眠時無呼吸症候群では、睡眠の質が低下するため、


・日中の眠気

・疲労感

・集中力低下


が起こります。


その結果、身体活動量が減り、エネルギー消費が低下するため、体重増加につながりやすくなります。





肥満と睡眠時無呼吸は「悪循環」



以上のように、


肥満 → 睡眠時無呼吸 → 代謝異常 → さらに肥満


という悪循環が形成されます。


そのため、


・いびきが強い

・体重が増えてきた

・日中の眠気がある


といった症状がある場合は、早めの検査が重要です。





睡眠時無呼吸症候群は治療できる



睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療により改善が期待できます。


主な治療方法には次のようなものがあります。


・CPAP治療(持続陽圧呼吸療法)

・体重減少

・生活習慣改善

・マウスピース治療

・気道評価に基づく個別治療


CPAP治療を行うことで


・眠気の改善

・血圧の改善

・代謝の改善


が期待できることが報告されています。





まとめ



肥満と睡眠時無呼吸症候群は、どちらが原因というよりも、互いに影響し合う関係にあります。


・肥満は睡眠時無呼吸を引き起こす

・睡眠時無呼吸は肥満を悪化させる


この悪循環を断つためには、早期診断と適切な治療が重要です。


いびき、日中の眠気、体重増加などが気になる場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。




藤沢ソーマクリニックでは、

睡眠時無呼吸症候群の検査・CPAP治療、生活習慣病の検査、保健指導を行っています。


睡眠や体重、生活習慣について気になることがある方は、お気軽にご相談ください。