院長ブログ

麻酔薬はクセになる?よくある質問です!

麻酔薬はクセになる?よくある質問です!

2026年09月26日 06:32

「ブロック注射がよく効いた。でも、何度も受けると麻酔薬がクセにならない?」

ペインクリニックでよく聞かれる質問です。

結論からいうと、神経ブロックなどで一般的に使用するリドカインなどの局所麻酔薬は、通常「クセになるからやめられなくなる」という薬ではありません。

ただし、「麻酔薬」にはさまざまな種類があります。すべてを一括して「依存性はない」と考えるのも正確ではありません。

今回は、神経ブロックを受ける方が知っておきたい「麻酔薬と依存性」について、麻酔科・ペインクリニックの視点から解説します。

「効いたから、また打ちたい」=依存ではありません

ブロック注射を受けて、

「久しぶりに痛みが楽になった」
「また痛くなってきたので、もう一度受けたい」

そう思うと、「これって麻酔に依存しているの?」と不安になる方がいます。

しかし、痛みが軽減した治療をもう一度受けたいと思うことと、薬物依存は同じではありません。

ここは分けて考える必要があります。

神経ブロックで使う「局所麻酔薬」とは?

局所麻酔薬とは、神経の興奮・伝導を一時的に抑え、痛みの信号を伝わりにくくする薬です。

ペインクリニックでは、リドカイン、メピバカイン、ロピバカインなどの局所麻酔薬が神経ブロックに使用されます。

歯科治療で「麻酔をしますね」と言われるときの麻酔も、同じ局所麻酔というカテゴリーです。

意識をなくすための全身麻酔とは目的も使い方も異なります。

麻酔薬なら全部、依存性がない?

ここには注意が必要です。

「麻酔薬」は非常に大きなくくりです。

神経ブロックに使う局所麻酔薬のほか、手術や検査の鎮静・全身麻酔に使用する静脈麻酔薬などもあります。

たとえばプロポフォールという静脈麻酔薬については、医学文献上、乱用や依存の報告があります。

また、疼痛治療で使用されることのある医療用オピオイドも、局所麻酔薬とは別の薬であり、依存や不適切使用に注意しながら使用する必要があります。

つまり、

「麻酔薬だから依存する」でも、「麻酔薬だから依存しない」でもありません。

どの薬を、何の目的で、どのように使っているのかが重要です。

ブロック注射は、麻酔が切れたら意味がない?

「数時間で麻酔が切れるなら、注射する意味がないのでは?」

これもよくある疑問です。

神経ブロックは、単にその場だけを麻痺させることだけが目的ではありません。

痛みが続くと身体が緊張し、交感神経が活発になり、血流低下や筋肉の緊張などが重なって、さらに痛みを感じやすくなることがあります。

神経ブロックによって痛みの伝達を一時的に抑えることで、この「痛みの悪循環」を断ち切ることを目指します。

そのため、局所麻酔薬そのものの作用時間を過ぎても、痛みの軽減が続く場合があります。

ただし、すべての患者さんに同じような効果が得られるわけではありません。

では、何度でもブロック注射を受けていい?

「依存性が通常問題にならない」ことと、「無制限に注射してよい」ことは別です。

神経ブロックにも、出血、感染、神経障害、アレルギー反応などのリスクがあります。

また、局所麻酔薬が血液中に高濃度で入ると、まれではありますが、けいれんや不整脈などを起こす「局所麻酔薬中毒」が問題になることがあります。

そのため、使用する薬剤、濃度、量、注射部位、患者さんの体格や持病などを考えて治療することが重要です。

ステロイドなど別の薬剤を併用するブロックでは、その薬剤固有の注意点もあります。

大切なのは「注射を続けること」ではなく、痛みを再評価すること

ブロック注射が効いていても、

「毎回すぐ痛みが戻る」
「以前より痛みが強くなっている」
「しびれや筋力低下が出てきた」

という場合は、同じ注射を繰り返すだけではなく、診断を見直すことも大切です。

必要に応じて画像検査、薬物療法、運動療法・リハビリテーションなどを組み合わせます。

治療のゴールは「ずっと注射を受け続けること」ではありません。

痛みをコントロールしながら身体を動かしやすい状態をつくり、生活の質を取り戻していくことが重要です。

「麻酔が怖い」という気持ちも診察時にお話しください

藤沢ソーマクリニックでは、藤沢駅南口徒歩2分の場所で、麻酔科・ペインクリニックとして肩こり、腰痛、神経痛、帯状疱疹後神経痛などのご相談に対応しています。

神経ブロックやトリガーポイント注射について、

「麻酔薬が怖い」
「何回くらい受けるの?」
「自分の痛みにブロック注射が合っているかわからない」

という段階でも構いません。

治療を受けるかどうかを決める前に、使用する薬や期待できること、限界、リスクについて確認しておくことが大切です。

藤沢・湘南エリアで痛みが長引いている方は、「注射をするかどうか」も含めて、一度ペインクリニックで相談してみてください。