骨盤底筋は、膀胱・尿道・子宮・直腸などの骨盤内臓器を支持し、排尿・排便機能を維持する重要な役割を担っています。この骨盤底筋の機能が低下すると、さまざまな症状が出現する可能性があります。
国際尿禁制学会(International Continence Society:ICS)の下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms:LUTS)の分類に基づくと、骨盤底機能低下に関連する主な症状には以下のものがあります。
・腹圧性尿失禁(くしゃみ、咳、運動、重い物を持ち上げた際の尿漏れ)
・切迫性尿失禁(急激な尿意に伴う尿漏れ)
・頻尿
・夜間頻尿(夜間に1回以上排尿のために起きる状態)
・残尿感 排便に関する症状
・便失禁
・腰痛や骨盤痛
・骨盤帯の安定性低下による姿勢の悪化や慢性的な疼痛など
疫学的研究では、これらの症状は生活の質(Quality of Life:QOL)に大きな影響を及ぼすことが報告されています。日本排尿機能学会の疫学調査(2021年)では、尿失禁などの排泄障害を有する女性の約40%が、外出や社会活動を控えるなど日常生活への影響を自覚していることが示されています。
一方で、骨盤底筋トレーニング(Pelvic Floor Muscle Training:PFMT)は、腹圧性尿失禁や骨盤底機能障害に対する第一選択の保存的治療として推奨されています。国際的なシステマティックレビュー(Cochrane Review)では、骨盤底筋トレーニングを行った女性は、行わなかった群と比較して尿失禁の改善率が有意に高いことが報告されています(Dumoulin et al., Cochrane Database, 2018)。
このように、骨盤底筋の機能低下によって生じる症状は少なくありませんが、適切なトレーニングや生活習慣の改善により、症状の予防や改善が期待できるとされています。